光徳刀絵図集成/本間順治/限定700部/光徳を再認識させると共に刀絵図の妙味を紹介し大坂落城や明暦江戸火災で焼身した名刀の面影を追憶する

商品説明
光徳刀絵図集成/本間順治/限定700部/光徳を再認識させると共に刀絵図の妙味を紹介し大坂落城や明暦江戸火災で焼身した名刀の面影を追憶する

昭和45年　厚さ約2.7cm　45cm×31.3cm程度　限定700部　部数は少なそうです。資料用にもいかがでしょうか。

本阿弥光徳は刀剣の鑑識を以て豊臣秀吉に召抱えられた当時斯界の第一人者であり、そのいかにも卓越した目利者である ことはまま服する光徳象嵌のものによって知られるばかりでなく、彼が描いた刀絵図すなわちいわゆる光徳押形によって さらにその蘊蓄の程を伺うことが出来る。およそ押形の刃文の描法には写実と写意とあるが、いずれにせよ作々の見どころ を十分に把握してこそはじめて実物を?鴨とさせることが出来るのであって、押形によって筆者の鑑識の程度が知られると 申しても過言ではなかろう。さて現存する光徳刀絵図の原本はただ二巻であるが、これをみるにまずその刃文はむしろ写意 的で、書にたとえるならば行草の体であるが、銘をみるまでもなく一見して誰の作であるかが指摘されることに賛嘆せざる を得ない。そして克明な写実である銘にまた三嘆させられる。まことに刃文にも銘にも実物をみる以上に教えられる点が多 く、作々の見どころの急所を図解されている感がある。

この二巻の中の一巻は奥書によれば文禄三年に光徳が当時の武将中の鑑識者の一人であるとおもわれる毛利輝元に献じた もので商来長く同家に伝来していまは防府毛利奉公会が保存し、いま一巻には文禄四年の奥書があって昔から金沢市の愛刀 家大友佐一氏が大切に保存している。そしてこの二巻以外に原本ではないが貴重なものに慶長五年と元和元年の奥書がある 二巻があり、前者は幕臣で録と刀の研究家である中村賢太夫の旧蔵であることは所蔵印によって知られ、先年故三矢宮松氏 から寒山博士が明られている。後者は光徳象嵌の手工者である埋忠寿海が自ら書写した原本であることが奥書によって知ら れ、さすがに光徳自筆本に比しては筆故が劣るが、大坂落城の折に焼身となったものにャの字を書き込んでいることが貴重 な資料である。もと京都の老刀舗くさなぎのやの蔵本であったがいまは岐阜の同業鷲見重信氏に移り、同氏は東京国立博物 館に寄托している。おもうに以上四巻に掲載されているものが殆ど秀吉の蔵刀であることは「大坂御腰帳、「大坂腰物帳」、 「豊臣家康物帳」に所載されているものに大半が該当することによって察知される。光徳は太閤御物を払拭の機会にその刀絵図を作成して原本として自家に秘蔵し、所望によって自らが抜率して書写したものを大名に贈り、或は門人に与え、或は寿育の場合のごとく模写を許したものであろう。

昭和十八年のことである。この四巻の中から重複の絵図を避けて編集し、閲覧の便を計って冊子本として便利堂に刊行させ、良書を以って自負していたが戦争のために世上騒然、ために普及しなかった感があり、今日の愛刀家の書架にこれをみることが稀有である。いまや刀剣界は史上最高の盛況を呈し、研究も鑑賞も向上しつつある。ここに本書を再刊して光徳を再認識させるとともに刀絵図の妙味を紹介し、大坂落城及び明暦の江戸火災によって焼身となった名刀のありし日の面影を同好の士とともに追憶したい。

昭和四十五年七月
本間順治一

お好きな方いかがでしょうか。

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